~デジタルクリエイティブ放談 その2~

「テクノロジーで何かを解決していくセンスがある人は、新たな領域でも進化できる」

博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ(以下、MP)グループを代表するトップクリエイター、
博報堂ケトル 木村健太郎、SIX 野添剛士、博報堂のデジタル思想を象徴する組織“エンゲージビジネスユニット”(以下:EBU)の二見 均。
クリエイティブ潮流の最先端で走り続けてきた3人が、博報堂/MPグループのデジタルワークについて語り合う。
第1回は、クリエイティブとデジタル、そしてデジタルキャリアについて放談。

デジタルワークのトレンド

運用型の仕事が増加し、プロデュース領域の
インテグレートが不可欠になった

二見オウンドメディア、プラットフォームの運用など、足の長い仕事が増えていることも大きなトレンドですね。これは結構重要な変化。これまでのような打ち上げ花火型の仕事と違って、持続的にクリエイティブを出し続け、定期的に成果を説明し、継続的にクライアントとの絆を深めていくことが重要になってくるから。ユーザーのテンションの波をほぼリアルタイムに的確にとらえ、「プラットフォームとキャンペーンを掛け合わせてみたらどうだろうか」とか「ここは、もうちょっとECサイトとの連動性を高めてみよう」とか、運用の中で波の乗り方を変えていく必要が生まれている。プロデュースしている領域で得意先課題がどんどん進化していくと、チームのインテグレートは欠かせない。EBUでは以前から、「バケツリレー型」から「スクラム型」へと言っていますが、皆でビジョンやKGI、KPIを共有し、スクラムを組んでお互いの体温を感じながら一緒に前に進んでいかないと、とても上手くいかなくなっています。

木村今の二見さんの話を単純化すると、要するに、アドからコンテンツ、コンテンツからプラットフォームという大きなトレンドがあるということ。アドは一過性だったから出稿が止まればもう見てもらえなかった。コンテンツは自発的に見てもらえるけれどもやはり存在しなくなればおしまい。ところがプラットフォームは、自走する。放っておいてもユーザーが集まり、遊び場として機能したり、ユーティリティとして利用してもらえたりする。だから作ってからが勝負という側面がある。プロデュースしながらクライアントとの会話の中で改良していくことが多く、プロデュースの領域とプラニングの領域が重なるんですよ。アドの時は考える人とつくる人が完全に分かれていたけれど、プラットフォーム型になるとほとんど一緒。もちろんプラニングの専門家、プロデュースの専門家は必要だけれどチームは分かれていない。どっちかだけやればいいというはもうないんです。

デジタル人材に求めるもの

テクノロジーで何かを解決していくセンスがある人は、新たな領域でも進化できる

二見EBUでは、デジタルはもう思想、あるいはOSとしての存在になっています。テレビ、新聞、グラフィックといった専門領域は一種のアプリ。だからすべての領域のプラニングにデジタルが組み込まれている。

野添僕はセンスという言い方をしています。スポーツにもいろいろな競技がありますが、元にあるのは運動センス。デジタルを学んできた人たちは、デジタルを使ってソリューションしていくという基本的なセンスを持っていると思うんです。

二見軸足は、データ解析とか、ウェブ制作とか、どこかに持っておく必要があるけれど、大事なのは、そのセンスを使ってほかの領域の匂いを感じ取りながら進化していくこと。自分の得意領域がいつまでも生かされる時代ではもうないから。

野添そうですよね。たとえばFlashは書かなくなっても、テクノロジーを信じ、それで何かを解決しようとする考え方があり新しいテクノロジーをどんどん吸収していこうという熱量、モチベーションを持っているなら、いくらでもまた次のことができる。

木村野添君は元SEなんだよね。通信会社でSEをやっていた。そういうフィールドで学び、ブロードバンド普及時代を支えてきたセンスが、今、クライアントソリューションに生かされている。

野添ハイビジョンを担当していたんです。その美しさやテクノロジーの力で、当時から何万人、何千万人を新しい段階にアップデートさせるということをやっていた。次はその上に載せるソフトウエアで新しい段階にアップデートさせたいと思って博報堂に入ったんですよ。当時のスキル、たとえばハイビジョンはもう普通のものになってしまったけれども、常に新しいものを取り入れブラッシュアップしながらやってますよね。

二見今、新しいソリューションを提供している人って、マルチキャリアな人が多いですよね。木村君も元ストラテジックプラナーだし、野添君は元SE。僕も実はイベントプロモーションをやっていたんです。結果的にはアナログな現場からデジタルに来たことになるけれど、プロモーションはもともとのりしろ面が広いほうで、周りの匂いを感じながら仕事をしているところはあった。単一職種、キャリアの限界を外そうとする意識を持っていないといくら人と一緒に仕事をしたってインテグレートはできない。短期に意味のあるキャリアを積もうと思ったら、際を超えて周りの匂いを感じるということがすごく大事。専業エージェンシーや、ウェブ制作会社ではなかなかないたくさんの匂いを感じることができる博報堂/MPグループは、そういう意味ではすごくいい環境ではないかと思う。

グローバル分野への期待

ユニバーサルインサイトに長けたデジタルの
センスが、グローバルブランディングを変える

木村もう1つ、デジタル化の大きな影響を受けていると思うのが、グローバルブランディング。特にオンライン動画がメジャー化したことは大きいと思う。言語や文化に規定されないから、ちょっと面白いものができると何千万人、何億人が見る動画になる。テレビCMで超えられなかった国境を、簡単に超えてしまった。だから、グローバルブランディングをやるなら、マス広告でガイドラインをつくって管理していくよりも、人々を巻き込みやすく予算的にもメリットがあるデジタル、インタラクティブ、オンライン動画といった領域が、どんどん重要になっている。

野添インタラクティブ、グローバル、リアルタイムはデジタルの本質というのはそこなんですよ。問題は、そこでどういうものをつくれば評価されるか、効果があるかということですよね。僕、ベースはユニバーサルなインサイトにあると思っているんです。

木村生活者発想と同じかもしれない。直感的にクリックさせる仕掛けは、どんな国のどんな人でもこういうものを見たら必ずこう感じてこう動く、という共通の原理を発見しないと機能しない。だからインタラクティブコンテンツは本質的にユニバーサルなんだと思う。

野添そうなんです。よく、親がスマホを使っているのを見ていた赤ちゃんが教えてもいないのに自然に使えたりするじゃないですか。デジタルをずっとやってきた人はそういう感覚に慣れ親しんでいるので、フィールをつくるという人間の五感に一番近いところの設計には長けていると思うんです。そこを大型エージェンシーである博報堂が深掘れば、さらにシナジーが生まれる。

木村コピーライターは、結局は日本語のプロフェッショナル。SPもどれだけ流通の店頭を知っているか。でもインタラクティブのプロは、どれだけ日本のインタラクティブ事情を知っているかではなく、どれだけ人間の体験やフィールをつくれ、人間を直感的に動かせるか。インタラクティブは、グローバルブランディングのカギを握っていると言えるのではないかと思う。(その3につづく

  • 木村健太郎
    (株)博報堂ケトル 共同CEO/エグゼクティブクリエイティブディレクター
    1992年博報堂入社。戦略からクリエイティブ、デジタルやPRまで職種領域を越境したプラニングスタイルを確立し、2006年博報堂ケトルを設立。10個のカンヌライオン、ふたつのアジア太平洋広告祭グランプリ、D&ADイエローペンシル、NYフェスティバルAMEグランプリをはじめ100を超える国内外の広告賞を受賞。カンヌやアドフェスト(審査員長)など10数回の国際広告賞の審査員経験を持つ。海外での講演も多く、2013年はカンヌフェスティバルで講演した。
  • 野添剛士
    (株)SIX CEO/クリエイティブディレクター
    2000年博報堂入社。EBUエンゲージメントクリエイティブ局を経て、2013年5人の博報堂を代表するクリエイターととともにSIXを設立。2011年度クリエイター・オブ・ザ・イヤーメダリスト、文化庁メディア芸術祭、Cannes Lions他、多数受賞。
  • 二見 均
    (株)博報堂 EBU エグゼクティブインタラクティブプロデューサー
    1990年博報堂入社。EBUインタラクティブプラニング部長/ソーシャルメディアマーケティング部長。デジタル領域全般、またリアル、デジタルの境界を越えたインタラクティブコミュニケーションプランニングや、マスも含めた統合コミュニケーションプラニング、そして制作プロデュースまでを幅広く担当するプロデューサー。
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