~デジタルクリエイティブ放談 最終回~

「縦割り意識のない風通しのいい風土だから生まれるデジタルとクリエイティブの融合」

博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ(以下、MP)グループを代表するトップクリエイター、
博報堂ケトル 木村健太郎(代表取締役共同CEO、エグゼクティブクリエイティブディレクター)、SIX 野添剛士(CEO)、博報堂のデジタル思想を象徴する組織“EBU”の二見 均(エグゼクティブインタラクティブプロデューサー)。
クリエイティブ潮流の最先端で走り続けてきた3人によるデジタルクリエイティブ放談。
最終回は、博報堂/MPグループの風土やチームスタイルを語る。

チーム体制

デジタルスタッフも、ビッグチームで
プラニングの根本から一緒にやる

木村今僕らがやっているプラットフォーム型の仕事は、何か決まってから「これつくってください」ということではなく、プラニングの根本から、デジタルグループ各社の人たちと一緒にやるスタイル。もちろんプロデュースの領域では、6社ともそれぞれの専門領域があるのでそこは責任をもってしっかりプロデュースしてもらうんですが、組織や会社の枠を越えた「大きなチーム」で1から10まで一緒にやるということができているのは、博報堂/MPグループの特徴でもある。

二見デジタル制作系グループ会社でデザイナーをしていた人が、僕のチームに来てプラナーをやり今はSIXでプラナーをやっているけれど、よく言っているのが、デザイナーの領域でも何故これが必要なのかというところから入ることによってプラニングが格段に伸びるという話。今、うちに出向中のデジタル系グループ会社の人たちも、皆似たようなことを言う。プラニングする意味をかなり初期の段階から感じ取ることによりプラニングの精度が上がると。

野添何のためにやるか理解していることは本当に大事。

木村ちょっと前までの広告会社は、マーケティング部門が戦略をつくった後、制作がクリエイティブアイデアをつくり、メディアプラナーがメディアプランをつくり、SPがセールスプロモーションをつくり、インタラクティブの人がデジタルメディアをつくり、最後にPRとかパブリシティをつくるという流れだった。こういうバケツリレーだと、後半のインタラクティブでもっといいアイデアが浮かんでももう戻れないんですよね。実際プロデュース領域の人たちは、フラストレーションがあったと思うし、元、戦略の領域にいた僕だって、アイデアが途中で曲げられちゃうフラストレーションがあった。だから皆にフラストレーションがあった。でもアイデアというものはどこからいいものが浮かぶかわからないし、特にインタラクティブは、今やコミュニケーションの基本要素の1つになっているのだから、当然最初から参加しているべき。最終的につくる段階は分担しても構わないけれど、何のためにどういうアイデアでやるのかというビジョンは絶対に皆で共有したほうがいい。そうした考え方が、2000年代から広告会社自体に生まれていて、博報堂にもEBUができたり、ケトルやSIXができるという動きが起きている。今、博報堂は、一番いい仕組みを模索したり統合したり、組織の構造をガラッと変えようとする転換点にある。そういうタイミングの会社でキャリアを積むのはすごく楽しいことだと思う。

二見さらに、そういう統合的なチームをつくりやすい風通しのいい風土が、博報堂にありますよね。

博報堂の風土

縦割り意識のない風通しのいい風土から生まれる
デジタルとクリエイティブの融合

木村世界のクリエイティブエージェンシーが、今何に悩んでいるか知ってますか? クリエイティブ人材とデジタル人材をどう融合させるかなんですよ。博報堂が20年前に悩んでいたことが、今、真剣なテーマになっている。最近、いろいろな国で講演する機会があるのですが、海外の人は、そんな融合したチームを組むなんてことは机上の空論だと思っているからよく聞かれるんですよ、海外のエージェンシーのCCOたちに。本当なのか、どういう風にやっているのか?と。

野添でも、僕らは本当にもうとっくに融合している。

木村それは、1つには、博報堂がこれだけの規模のままマルチファンクショナルなワンストップを維持しているから。世界のエージェンシーは、大体が多くても何百人規模。相当コアなクリエイティブ以外、すべて切り離しちゃっているんですよ。でも僕らは、市場の違いもあって巨大な規模で残れた。

二見その分、いろいろなパーツがそろっている。だからインテグレートしやすいんですよね。

木村そう。もう1つは国民性というか、日本の経営には「すり合わせ」の文化があるから。欧米企業に比べて、組織が明確な命令系統を持ったツリー構造にはなっていないですよね。すり合わせによって素晴らしい自動車やエレクトロニクスがつくれたのと同様、すり合わせによる素晴らしいコミュニケーションアウトプットをつくれるようになった。残りはもう、博報堂の風土、文化としか言いようがない。全く縦割り意識のない風通しのいい風土とか。

二見謙虚さですよね。おとなしいという意味ではなく、他の人の意見を聞く姿勢。クリエイティブの打ち合わせも、皆の話を聞くじゃないですか。そういうすり合わせを前提とした会議になっている。うまくやらないと打ち合わせが長くなる面もあるけれど。

木村いいことも悪いこともあるが、今となるとむしろいいことと言えるんじゃないですかね。

二見あと、大きな変化として、5~6年前にEBUが中心となってエンゲージメントリングという思想が言い出したこと。マスクリエイティブから順に考えるのではなく共感テーマと体験装置をつくっていこう、体験装置はメディアニュートラルでも手口ニュートラルでいい、そう掲げたことで、そうかもしれないというプラニングメソッドが認知された。ケトルの場合は、もっと前から突然変異的に一部の最先端の人が共鳴し確信犯的に「越境」と言いだしているけど、ユーザーとエンゲージするという思想をメソッド化、可視化したことで、全体に浸透していったというのはあると思う。

木村もっと俯瞰していうと、ありとあらゆる産業で、これから活躍する人にはアートとサイエンスの融合が必要だと言われている。システムが得意な人はいくらでもいるし、コミュニケーションがわかる人、アイデアを持っている人、クリエイティブな人もたくさんいる。でも、インタラクティブテクノロジーがわかっていてコミュニケーションがわかる人は今までほとんどいなかった。だからアートとサイエンスが融合した人は、ものすごく価値がある。うちの会社はそこに直感的に気づいて育成してきたんです。博報堂本体にデジタル専業部署を置かず、EBUのような融合型部署を作ってそこでデジタルを育てようとした発想自体、思想的にアートとサイエンスの合体なんですよ。普通はどこの業界でも、売る人とつくる人、考える人とつくる人と分かれているものです。

二見確かにそう。うちの中途入社の人も、前の職場で、必然的にアートとサイエンスの両方を見なければならなかった人が、入ってきて機能している。営業でネット含めたメディアプラニングをやりながら人がいないからクリエイティブもコントロールしていたとか、ログ解析を見ながらバナーのクリエイティブもやっていたとか、そういう人は抵抗感なく、セクショナリズムを際越えしていくんですよ。

求める仲間

来てほしいのは、際を超える熱量を持った人
アップデート欲がある人

野添専門スキルを持ちながら、その際をあえて越えようという熱量を持った人に入ってきてほしいですね。

二見上書き能力が高い人、アップデート欲が高い人とも言えますね。プライドとか絶対これが正しいという強い思い込みがあると、その瞬間に進化が止まってしまう。熱量に加え、そういうアップデート欲が必要だと思いますね。

木村僕でさえ、20年前に入社した時と10年前と今では、やっていることも必要なスキルも全く変わってきている。インタラクティブ領域に軸足を置く人は、さらに変化が速いはず。自分がこれまで身に着けたスキルを使って生きていこうという考えは危険だと思いますね。今の世の中、手に入れてしまえば永久に有効というキャリアは多分もうない。新たなフィールドで学び続ようという姿勢が絶対必要ですよね。

二見そうですね。僕は人材マネジメント室にも所属していて、インタラクティブ職の研修はどうしたらいいかいつもポジティブに悩んでいるんですが、この領域は、学んだことはすぐすたれる。常にアップデートし続けなくてはならない。だから、そういう姿勢論を説くのが研修だという気すらしている。

野添際越えやアップデートそのものを楽しめるくらいの人がいいですよね。

二見際を越えていろんな人と仲良くなれば、その人たちとの融合でまた新しい仕事ができるかもしれない。それが次の仕事の財産になる。だからグループ会社からうちのチームに出向している人には、博報堂内外に仕事を通じて知り合いを増やすことが大事だといつも言っているんです。でも、知り合いを増やすのはそんなに簡単なことではない。その点、博報堂の規模感だと優秀な人もたくさんいるので、自分の稼働領域を拡げることにつながると思いますね。

木村デジタル系グループ会社で今回採用する人は、軸足がしっかりしているはず。それをコアビジネスにしながら、それを使って横展開でビジネスに携わっていってほしいと思う。

二見ただ、リアルなことを言うと、そういう人ってものすごく忙しくなるんですよ。空気を感じようとしたら、単純に打合せが増えるし。

野添1つ頑張るとまた仕事が増えていく会社ですよね。言い換えれば本当にチャンスのある会社だということ。匂いが感じられ、アップデートを楽しめ、それらをキャリアデザインに生かしたいと思う人には、絶対魅力的な環境だと思いますね。(完)

  • 木村健太郎
    (株)博報堂ケトル 共同CEO/エグゼクティブクリエイティブディレクター
    1992年博報堂入社。戦略からクリエイティブ、デジタルやPRまで職種領域を越境したプラニングスタイルを確立し、2006年博報堂ケトルを設立。10個のカンヌライオン、ふたつのアジア太平洋広告祭グランプリ、D&ADイエローペンシル、NYフェスティバルAMEグランプリをはじめ100を超える国内外の広告賞を受賞。カンヌやアドフェスト(審査員長)など10数回の国際広告賞の審査員経験を持つ。海外での講演も多く、2013年はカンヌフェスティバルで講演した。
  • 野添剛士
    (株)SIX CEO/クリエイティブディレクター
    2000年博報堂入社。EBUエンゲージメントクリエイティブ局を経て、2013年5人の博報堂を代表するクリエイターととともにSIXを設立。2011年度クリエイター・オブ・ザ・イヤーメダリスト、文化庁メディア芸術祭、Cannes Lions他、多数受賞。
  • 二見 均
    (株)博報堂 EBU エグゼクティブインタラクティブプロデューサー
    1990年博報堂入社。EBUインタラクティブプラニング部長/ソーシャルメディアマーケティング部長。デジタル領域全般、またリアル、デジタルの境界を越えたインタラクティブコミュニケーションプランニングや、マスも含めた統合コミュニケーションプラニング、そして制作プロデュースまでを幅広く担当するプロデューサー。
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